「慈善事業は無償で働くべき」は、そろそろ見直されてもいいんじゃない?NPO/NGOの活動と台湾募金デマの話。
台湾で大きな地震があったみたいですね。 深夜にツイッターで情報が流れてきたんだけど、東日本大震災のときの気持ちが蘇ってきて怖かった……。現地の人たちはもっと大変なはずです。台湾の人たちが、一刻も早く心穏やかに暮らせる日が来ますように。ささやかだけど募金をしました。
それから、そこで一つ気になったことがありました。
『台湾の被災地支援のための寄付金。現地に「一部しか届かない」はデマ』
元のツイートは削除されたけど、こんな内容でした。
私は前職がNPO・NGOを支援する仕事だったので、スタッフが集まった募金をピンハネしているというデマはとても悲しい。(そして、このツイートは特定の国のヘイトスピーチにもなってると思う。辛い)
以前、東日本大震災で募金を集める仕事していたとき、仲の良かった同級生が集めたお金を募金したいと申し出てくれたことがありました。 すごく嬉しかったのだけど、途中で『この団体、こんな噂があって心配だから別の団体にするね』とウェブサイトのリンクが送られてきました。それは誹謗中傷が並ぶデマばかりのサイトで、私は『団体の公式サイトで収支報告とかが載ってるから確認してみてね』って連絡したけど、結局こういう情報を信じてしまう人もいるわけで……。現場で働く人たちを近くで見ている分、切ない。
今回の騒動では、このデマツイートのあと、buzzfeedさんがしっかりと取材してくださり、これがデマであるということがきちんと証明されました。(ちょっとホッとした、、、。)
・『台湾の被災地支援のための寄付金。現地に「一部しか届かない」はデマ』 ・台湾の地震を受けた寄付金デマ 本人は誤り認め、謝罪「インターネットの怖さを痛感した」
だけど、このデマツイートのRT数は約6万。この記事が、RTした人たちや、さらにそれを見て誤解してしまった人にきちんと届いてくれたらいいのだけど、きっと全員には行き渡らない。そういう意味でも、このデマツイートの罪は大きいと感じています。
今回の件で、デマの情報を流されてしまった認定NPO法人は、弁護士を通じて法的措置の手続きを始めているそう。オンライン上でも発言の責任が問われる時代となりました。情報を受け取る側の私たちも、しっかりと情報を吟味した上で責任を持ってシェアしないといけないなと思います。
それから、こういうとき必ず話題になる『イメージキャラクターやNPOスタッフの募金ピンハネ問題』にも、ちょっと触れたいと思います。
まず、『NPO法人は「非営利組織」だから、利益を出さずに無償で活動を行うべき』と思っている人がいるかもしれませんが、大きな誤解です。「非営利」とは、「利益を出してはいけない」という意味ではありません。普通の企業と違うところは、出た利益を出資者や会員に配分せず、団体が取り組む活動のために使うというところ。
ただ、大切なところは『利益の分配は行わないけれど、収益の中からスタッフに給与を支払うことは認められている』ことです。そうしないと活動が持続可能に続けられないからです。
例えばこの台湾の支援だって、
など、募金だけでなく、この活動を行うための経費が必要になってきます。
一時的に、個人の善意でやる分には無償でもできるかもしれません。いわゆるボランティア活動ですね。 けれど、世の中のNPO・NGOの人たちが取り組んでいる社会問題は短期的に解決できるものよりも何年もかけて取り組んでいかなければいけない問題が多くあり、必要な金額も大きくなってきます。そのためには、継続的に、かつ組織的に活動していかなければいけません。そうするとその間、問題解決に携わる人たちが生活していくために人件費も必要ですよね。
だから、NPOだって営業するし、広報するし、イメージキャラクターだっているし、物販もする。学校や地域での啓蒙活動だって、その活動の中に含まれます。それでどんどん世の中の関心を高めて、募金を集めて、問題解決のために頑張ってくれたらいいんじゃないでしょうか。ていうか、こういう社会問題を解決しようと活動する人こそ、しっかりお金をもらっていいんじゃないかなと個人的には思うんだけど。
NPO法人もいろんな団体があるから一概にどうとは言えないけど、少なくとも私の周りの人たちは”ピンハネ”なんかする人じゃなくて、使命に燃えた、どちらかというと自分たちの身を削って取り組んでいる人ばかりです。
なんとなく感じている、慈善活動する人は清く正しく美しく、決して表には出てこず、多少の自己犠牲は厭わず活動するべし、みたいな風潮。そして「慈善事業に関わる人は無償で働くべき」という考えは、そろそろ見直されてもいいんじゃないかな。こういう社会的圧力が、社会問題に取り組む人たちを疲弊させること、そしてこういう社会貢献活動が広がらない一因になっていることに気がついて欲しい。
NPOが稼いだっていいじゃん、課題解決のスピードアップになるよ。
募金から経費が差し引かれる、というと『募金が100%支援先に届かない』という人もいるかもしれないけれど、その経費でより多くの人に活動を知ってもらって、活動も長く続けられて、更に募金総額が増えると考えたら、決して悪いことはないと思うんです。募金活動の”その次”につながる、大切な投資なんじゃないでしょうか。
誤解されやすい、NPO・NGOの世界。私の未熟な言葉でどこまで伝えられたかなあと若干不安もあるけれど、この機会に少しでも考えてもらえたら嬉しいです。
●よくある日本ユニセフ協会さんのデマと疑問について
最後に、オンライン上でよく叩かれてしまう日本ユニセフ協会さんについてデマ情報をよく見るので、幾つか調べて載せておきました。
(1)アグネス・チャンさんが募金をピンハネして豪邸を建てている→ アグネス・チャンさんは無償で活動されています。
(2)日本ユニセフ協会は偽物である→ 日本ユニセフ協会は、ユニセフとの協力協定に基づき、ユニセフの広報、募金、アドボカシー活動を担う国内委員会で、日本における唯一の公式窓口です。
(3)日本ユニセフ協会はスタッフが募金を不当に“ピンハネ”している。
(4)ユニセフ親善大使である黒柳徹子さんの口座なら100%がユニセフに支払われるから、黒柳さんの口座に支払うべきなのでは? どちらに募金するかは、個人の判断で行っていただくのが一番かなと思います。
▶︎ここに詳しい情報が載ってるよ。 ・日本ユニセフ協会に関するデマや誤情報にご注意ください(日本ユニセフ)
▶︎この方のブログわかりやすかったです! ■ひろゆきの日本ユニセフ&アグネス叩きについてそろそろ一言いっとくか
私はCAMPFIREで募金しました! ▶︎【台湾地震】緊急支援金募集 #台湾加油
(家入りさんが好きなのでここから募金しました。こういう時に自分の個人的に信頼できる人が活動してくれていると、とても嬉しい。ありがとうございます。)
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